万年筆の書き心地が以前よりも悪くなっているとお悩みではありませんか?
もしかするとそれは万年筆のペン先の寿命が原因かもしれません。
実はペン先にも寿命があるのです。
今回は万年筆のペン先の寿命から、修理や交換方法を紹介します。
今日で万年筆の命ともいえるペン先についてマスターしましょう。
目次
万年筆のペン先の寿命は?
一生にわたって使用することができると言われている万年筆にも寿命があります。
それはペン先の寿命が尽きたときです。
ではペン先はいつ寿命を迎えるのでしょうか?
万年筆のペン先の構造
ほとんどの万年筆のペン先には金が使われています。
あなたもペン先に18金や21金などの文字を見たことがあるのではないでしょうか?
金が使用されている理由はインクにあります。
万年筆のインクは酸性です。
そのため長期間使用すると、少しずつ物体を腐食します。
それを防ぐためにも腐食に強い金がペン先に使用されているのです。
万年筆のペン先は非常に細かな作りがされていますが、今回覚えていただきたいのは3つのパーツ。
1つ目はペン芯。
ペン芯とは、ペン先の先端にある非常に小さな穴です。
この穴はペン先にインクを供給する働きがあります。
2つ目はハート穴。
ハート穴はペン先についている中心の穴です。
これはペンのしなりを左右する非常に重要なパーツ。
一般的に14金や18金など、数字が大きくなるほど、柔らかいです。
そして最後3つ目がペンポイント。
ペンポイントはペン先の先端に溶接された丸い金属のことです。
金は摩耗に弱いという性質があるため、ペンポイントにはイリドスミンという素材が使用されています。
このイリドスミンという素材はダイヤモンドの次に硬い素材だと言われています。
そのため摩耗に強く、密度も高いので万年筆特有の滑らかな書き心地を生むのです。
ペンポイントはインクフローなどに影響を与え、ペンポイントが機能しなくなると、万年筆もまた機能しなくなるのです。
万年筆のペン先の寿命は信じられないほど長い
ペン先の寿命はペンポイントが機能しなくなった時と言っても過言ではありません。
しかしダイヤモンドの次に硬い物質が使用されているので、摩耗が原因でペン先が寿命を迎えることはほとんどありません。
普通に使用していれば万年筆のペン先は10年、20年、もしくは30年も使用し続けることができます。
実際に生涯使えると言われている通り、何十年もペン先を交換する必要はありません。
ペン先が寿命を迎える原因は摩耗ではなく、万年筆を使用するときにペンを傾けすぎて大きなプレッシャーがかかることが原因となることが多いです。
もしくは落としたときにペンポイントが傷つくこともあります。
もしあなたの万年筆がアンティークのものや受け継いだもの、もしくは長期間使用したものであるならば、摩耗による寿命を迎える可能性はあります。
しかし10年程度の使用でペン先が寿命を迎えたのならば、まずは外的要因を考えるべきです。
万年筆のペン先の交換方法は?
万年筆のペン先の交換は基本的には難しいです。
メーカーによっては素人の手では交換することさえ難しいものもあります。
一方サファリやアルスターの万年筆は簡単にペン先を交換する構造になっているのです。
もしも自分の手に負えないと感じたら、プロに修理をしてもらう必要があります。
前述したようにペン先は万年筆の命と言っても過言ではありません。
無理やり外そうとして傷つけたら、必要以上の修理費を支払わなければいけない可能性もあります。
基本的なペン先の交換方法
メーカーやモデルによって、ペン先の交換方法は多少変わってくるかもしれません。
しかし基本的な交換方法を知っておけば、自分でペン先の交換を行うことも可能です。
ペン先の交換方法は以下の通りです。
1.テーブルに汚れてもいい布などを敷く
ペン先の交換では手はもちろん、衣服やテーブルなどが汚れる可能性が高いです。
ペン先の交換を行う際には汚れてもいい服を着用、テーブルも汚れてもいい布を敷きましょう。
2.インクを抜く
まずは万年筆に溜まっているインクを抜きましょう。
ペンを垂直に立てることによって、インクが入っている状態でもペン先の交換はできますが、安全のためオススメはしません。
インクを完全に取り去ったら、ペン先の交換を行う準備ができたということです。
3.ペン先を外す
ペン先を外すのはとてもシンプルです。
片方の手でペン先を掴み、もう一つの手でボディを掴みます。
そしてペン先を反時計回りに回すのです。
するとペン先をボディから外すことができます。
4.ペン先を取り付ける
ペン先を取り外したら、新らしいペン先を取り付けます。
もしくはペン先を掃除しただけなら、それを戻しましょう。
なお、ペン先の購入は↓のショップが種類が豊富でオススメです。
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万年筆のペン先のケアの仕方
万年筆のペン先は日ごろからケアを行うことが大切です。
万年筆のペン先の主なケアは以下の通りです。
・しばらく使用しないのならインクを抜く
もし万年筆をしばらく使用しないのなら、インクを抜いて、ペン先を綺麗にしてから保管しましょう。
インクが残っている状態だと、インクに含まれている酸が酸素と結びつき酸化を起こします。
そして酸化が起きると、ペン先にダメージが加わるのです。
・キャップを万年筆につけてから使用する
もし可能ならば、キャップをペンの後ろにつけた状態で筆記を行うのをオススメします。
誤ってペンを落としてしまった際、ペン先ではなく重力のあるキャップがついた部分が先に床につく可能性を上げることができるからです。
・1か月に1回はペン先を洗う
月に1回はペン先を冷たい水で洗いましょう。
洗う際には、水がインクでにじまなくなるまでが目安です。
またインクを補充するたびに、ペンを綺麗にするのをオススメします。
万年筆のペン先を修理するにはどうすればいい?
曲がったり、折れたりしたペン先は自分で修理することは不可能です。
オススメの万年筆のペン先に修理方法は2つ。
メーカーの修理サービスを利用
ほとんどすべてのメーカーが万年筆の修理を受け付けています。
まずは万年筆メーカーの公式サイトを見てみて、修理を行っているのか確認してみるといいですね。
例えばパイロットはパイロット製品を取り扱っている最寄りの文具店や百貨店に持っていけば修理を行ってくれます。
もしくはペンを本社まで送ってもOKです。
モンブランもまたモンブランブティックで対応を行っています。
万年筆職人に依頼する
万年筆職人に修理を依頼するという手段もあります。
筆記したものと一緒にペンを送ると、あなたのくせに合わせた調整を行ってくれます。
職人に依頼というと多額の費用がかかりそうですが、万年筆の修理に関してはかなり良心的な値段です。
万年筆のプロなので、万年筆の扱い方も丁寧に教えてくれるのは魅力的ですよね。
また国内メーカーでは対応していない海外製品メーカーも対応してくれます。
まとめ
万年筆は適切な使用さえしていれば、本当に生涯使い続けることができます。
しかしペン先に負荷がかかる使用を続けていたり、落としたりするとペン先の修理が必要になる時があります。
もし自分で交換できそうにないときは、速やかにメーカーや職人に依頼しましょう。
必ずあなたの手に合う万年筆に戻してくれるはずです。