万年筆で最も重要なのはペン先だと言われます。
紙に実際に触れるペン先の素材、太さ、硬さによって書き心地は全く変わってきます。
だからこそ、万年筆を選ぶ際にはペン先に焦点を当てないといけません。
あなたに合ったペン先を選ぶことで、満足する筆記体験を得ることができます。
では実際にどんなペン先があるのでしょうか?
ペン先によって価格は変わってくるのでしょうか?
今回はペン先について徹底解説します。
この記事を読むことで、万年筆の命であるペン先について十分に理解できるようになります。
ペン先の素材
万年筆のペン先には、さまざまな素材が使用されます。
ここからは主なペン先の素材と、その特徴をご紹介します。
金
最も質の高いペン先は金で出来ています。
基本的にステンレスよりもスムーズで、耐久性も高いです。
ペン先に金が使用される理由には、万年筆のインクが挙げられます。
万年筆インクは酸性のため、長年使用すると酸でペン先が変形したり、劣化したりします。
しかし、酸に強い金をペン先に使用することで、高いクオリティーのままペン先を使用することができます。
金のペン先には14k、18k、21kなどと表示されます。
これは金の含有量を示していて、数字が高いほど金の含有率は高いです。
一般的に、数字が大きいほど書き心地は滑らかです。
金のペン先が大人気の理由としては、さまざまな弾力を付けることができるからです。
美しい日本文字は止め、跳ね、払いがしっかりとつけられています。
それぞれの微妙なニュアンスをつけるには、柔らかで、滑らかな書き心地の金がピッタリです。
21kは少し柔らかすぎると感じる可能性が高いので、おすすめは18k。
金のペン先の万年筆は高価なものですが、その価値は十分にあります。
万年筆の魅力に虜になったのならば、一度購入することを検討してみるといいでしょう。
メッキペン
メッキペンは、一見すると金のペン先と同じです。
しかし、白ペンにメッキを施しているものなので、金とは違います。
メッキペンは柔らかく滑らかな書き心地が特徴です。
加工されている分、金よりも耐久性は高いです。
ステンレス
ステンレスは、硬い書き心地が好みという方にはピッタリのペン先です。
ステンレスもまた腐食に強く、それでいて金よりも値段は安価です。
しかし、腐食の強さや書き心地の滑らかさは圧倒的に金の方が上。
ステンレスはコストパフォーマンスが高いので、ほとんどの1万円以下の万年筆にはステンレスのペン先が使用されています。
硬い書き心地なので、万年筆ならではのカリカリとした書き心地を味わいたいという方にはステンレスのペン先を使用してみるといいでしょう。
ペン先の素材による価格の違い
ペン先の素材によって価格は大きく異なってきます。
すでに述べたように、ステンレスのペン先は金と比べると安価です。
基本的には1万円以下の万年筆には、ステンレスのペン先が使用されていると思っていいでしょう。
販売会社によっては、「〇金仕上げ」、「〇金ゴールドプレート」のように一見すると金のペン先のように表記して販売します。
しかし、これらの表記だとステンレスのペン先が使用されているということです。
安価な万年筆に、金のペン先が使用されていることはほとんどありません。
初めて万年筆を購入するという方は、比較的安価なステンレスのペン先の万年筆でもいいでしょう。
ステンレスのペン先でも、十分に機能性があり、書き心地も抜群です。
万年筆に慣れてきたら、本格的な金のペン先を味わってみるといいですね。
万年筆のペン先の太さ
万年筆のペン先には、さまざまな太さがあります。
ペン先の太さによって、書き心地も違えば、向いている用途も違います。
主なペン先の太さと特徴を下の表にまとめてみました。
ぜひ万年筆購入する際には参考にしてみてください。
太さ | 特徴 |
---|---|
EF(極細) | 細い線がかけるため、手帳やノートなどへの筆記にピッタリ |
F(細字) | 最もスタンダードな太さ。ノート、手紙などへ美しい日本文字を書ける |
MF(中細字) | 中字よりも細いため、手帳やノートなどへの筆記に向いている |
M(中字) | はじめての万年筆なら中字がおすすめ。どんな用途にも向いている |
B(太字) | 契約書のサインやチェックサイン時に活躍する太さ |
Z(ズーム) | 角度によって細字も太字も書ける太さ。使いこなせれば重宝する1本 |
MS(ミュージック) | 楽譜用のペン先。近年では、デザイン文字を書くために使用している人が増加 |
万年筆のペン先の太さには、メーカーにも注意です。
国産の万年筆のペン先は外国製のものと比較すると細いです。
つまり同じMFでも、外国製のものの方が太くなります。
主な国産メーカーは、セーラー、プラチナム、パイロットです。
この3ブランドの以外の万年筆を購入するときには、ペン先の太さに注意しましょう。
またペン先の太さは、線の細さだけ違うというものではありません。
細め・太めのペン先にはそれぞれメリットとデメリットがあります。
太めのペン先は、細めのものよりもインクフローが良いです。
インクが速く、そして多量に出るのでスムーズな筆記体験をすることができるでしょう。
しかし、紙の質にってはインクがにじむ可能性が高いです。
太めのペン先を選ぶと、万年筆に合った紙を選ぶのがいいでしょう。
一方、細いペン先はよりインクフローをコントロールすることができます。
太いペン先よりはスムーズではありませんが、手帳やノートなどに小さな字を書くのには向いています。
国産のEFを使用する際には、ペン先に圧をかけすぎないように注意しましょう。
圧がかかりすぎると、ペンが紙を突き破る可能性が高いです。
入門者は中細字、もしくは中字を選ぶといいでしょう。
ペン先の固さ
ペン先の厚みとカーブ具合によって、ペン先の固さが決定します。
ペン先に厚みがあればあるほど、硬い書き心地を得ることができます。
ペン先の固さは、素材、厚み、カーブ具合などさまざまな要素によって決定されます。
万年筆は使用し続けると、ペン先があなたの筆記癖に対応してきたものとなります。
初めは書き心地が気に入らなかったものが、3~4か月後にはあなたにピッタリのものとなることは珍しくありません。
そのためどんな万年筆でもしばらく使い続けてみることが大切です。